会長挨拶


第51回日本産婦人科医会学術集会
テーマ:輝く未来へ産婦人科医療の舵取り~開港のまち横浜から~
このたび、第51回日本産婦人科医会学術集会を、2025年(令和7年)10月25日(土)~26日(日)の2日間、横浜ベイホテル東急にて開催する運びとなりました。神奈川県として本学術集会の担当は、40年ぶり2度目となります。おりしも、近年の少子化の予想以上の加速により、生殖補助医療の保険診療への組み込みに続いて、出産費用の無償化を診療報酬改定とセットで進行しようとする動きもあり、我々産婦人科診療を取り巻く環境は予断を許さない状況です。本学術集会では、そのような産婦人科医療を輝く未来へ舵取りするべく、開港のまち横浜で大いに議論したいと考えて、テーマを設定いたしました。
ひとまず、初回開催状況と比較して時代の流れを俯瞰しようと試みました。第11回(1985年[昭和59年]9月23日横浜市神奈川県民ホール)は、全国10ブロックに分けて各地を一巡した学術集会が2周目の第1回で関東ブロック担当となり、神奈川県が選出されたようで、テーマが「産婦人科不滅~日々向上の心をもって~」で、「産婦人科不滅」をスローガンとして力強く宣言したい・・と記されています。当時の社会背景には、乱診乱療と言われる事件があり、産婦人科医の脱税・医療過誤問題などがマスコミを賑わせたため産婦人科医の権威を著しく失墜させた・・とあります。また妊娠出産の減少で産婦人科が斜陽ではないかという記載もあり、その危惧を振り払い「産婦人科不滅」のスローガンを打ち出したようです。しかし当時の学術集会は、「社団法人日本母性保護醫協會」の主催での「日母大会」の時期であり、「会員だけでなくご家族に対しても実りの多いものとしたい」という抱負が語られていました。開催様式も今とはかなり異なり、“お祭り”気分で家族のためのエクスカーションも企画して、“産婦人科斜陽” の危惧とは裏腹に、おおらかな時代でもあったように感じます、参加人数も予定では2,500名となっておりました。また同年秋には、おぎゃー献金20周年記念式典が、美智子皇太子妃殿下の御臨席で挙行されています。以上を概観して、皆様はどのように感じられましたでしょうか?1世代以上前も、今も、結局状況は同じではないでしょうか?産婦人科医は常に危機感を持って社会を観察し、対応を模索しないといけないようです。
さて、今回は幸いにコロナ禍もひと段落したようで、実開催を主としています。開港の町横浜で、全国の旧知の間柄の皆さんが実際に集い、美味しいお酒とお料理をお楽しみいただけます。台風を避ける意味で10月の最後の週末に日程を定めました。もちろん、「輝く未来へ産婦人科医療の舵取り」について大いに語り合いましょう。ご参加をお待ち申しております。